「ニートのあした」宣言

プロフィール

ニートはジャズ - 作品集


ニートは、強制労働社会に請求書を おくりつけます。 しごとを わけてやるから、カネを わけろ!

「わしら、スターダストや」

 ニートのあしたは、京都大学 時間雇用職員組合 ユニオンエクスタシーによる「首切り職員村」を 支援します。


 まず、「わしら、スターダストや」という曲をつくりました。ご自由にどうぞ。


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http://www.geocities.jp/hituzinosanpo/sutaadasuto.mp3


わしら、スターダストや。


 私の尊敬する詩人である“かい人21面相”は、1985年3月17日、大阪城天守閣内に置き去りにされていた「挑戦状」の中で、「わしら スターダストや/はよ ほんまもんの スターになりたい/なつまでに ごついこと やったるで」と書きました。


 当時、東京で育った少年の私にとって、これは「大阪」的なるものとの驚くべき初の出会いであったわけですが、今、30代の(高学歴?)フリーターとなった私の密やかな心情に、これほどぴったりとくる言葉はありません。


 現在私は、京大のとある部局の図書室で、非常勤職員として働いています。時給は上限の1200円(ちなみに最低は900円です)。非常勤は週30時間までと決められているので、月の手取りは12万程度。それも祭日が多いと10万ちょっとになります。年収に直すと130万程度でしょうか。ずっとこれでやってきました。


 アパートは風呂なし3万。金が無いので週に1〜2回しか銭湯に行けません。クレジット会社に多重債務があって、その返済に月3万円(余談ですが、職場に督促の電話をかけてくるのはやめて頂きたいです)。食費を引いたら自由に使えるお金はいくらも残りません。もちろん貯金ゼロ。育英会奨学金200万だって返していません。いや、返せません。


 これが京大の、非常勤職員の現実です。これでは食えないので、土日に別のバイトを掛け持ちしている人だって、何人も知っています。そしてこのような非常勤職員は、京大全体で2600人もいるのです。今回、京都大学は、このうち法人化以後に採用された1300人を、通算5年で雇い止めにすると発表しました。2010年には、まず100人を手始めに解雇するそうです。私はこの栄えある100人のうちの1人です。


 「すきなんや わしらけいさつ すきなんや」と、かつて“かい人21面相”が唄ったのと同じように、私たちは(たぶん)京大が好きなのです。たとえどんなに痛めつけられても、京大で働き続けたいと思うのです。そのために、立ち上がるしかありません。殺られる前に殺るしかありません。自分が首を切られる前に、今回の決定の責任者である大西珠枝理事(年収1700万)の首を切るしかありません。刺し違える覚悟で、こうしてストライキをしているのです。


 今回、この5年という雇用期限は、最終的には撤回されると思います。なぜなら、このような規定に何の合理性もないからです。実際、5年でクビにした後には、また新たな新人を雇わざるを得ないわけですから、人件費削減にも何にもなりません。職場のノウハウは蓄積されず、スキルが無駄に使い捨てられていくだけです。佐賀大学をはじめ、同様の規定は次々と廃止され始めています。


 しかし、ここが大事なのですが、仮にこの5年条項が撤回されたからといって、私たちの貧しい生活は、今後も何ひとつ変わることがないのです。せめて風呂に入るために時給を100円上げてほしい。貯金をするためにボーナスがほしい。そのようなささやかな願いでさえ、この京都大学は平然と踏みにじってきたからです。「同一労働同一賃金」の原則にもとづき、非常勤職員の待遇を改善しなければ、そして大学における雇用制度を根本から見直さなければ、この問題はまったく解決しないのです。


 そもそも、「1年ごとに契約を更新する」という仕組み自体がおかしい。これだけは強く言っておきたいと思います。先日、大西珠枝理事(年収1700万)は、団交の席で「非常勤には(正職員とちがって)配置換えなどの業務責任を課していない」と発言したそうですが、これには怒りを覚えました。私は、この5年間たらずの間に、理学部→文学部→総人→農学部 etc. と、何度も職場を渡り歩いてきました。そのたびに雇い止めを通告され、新たに職探しをしなければなりませんでした。これを書いている今も、この3月には契約更新がありません。4月からの職場は見つかっていません。必死で何通も履歴書を書いているところなのです。


 「非常勤の業務は臨時的で補助的」「(解雇しても)新たな人を雇うまでだ」――大西珠枝理事(年収1700万)は、このような物言いが、どれだけ働く人の気持ちを傷つけるか、考えたことがあるのでしょうか。生活保護水準なみの低賃金で2600人もの職員を働かせておいて、5年たったら使い捨て。ここはトヨタやキャノンの工場ですか。これじゃまるで京大は現代版「蟹工船」、いや――京大非常勤の85%は女性ですから――むしろ現代版「女工哀史」ではないですか。その背後にはパート労働の問題、つまり女性の労働力をいいように安く買い叩いてきた、長い歴史があります。


 星くず(スターダスト)にだって意地はあります。人を人として扱わず、まるで奴隷か機械のように見下すからには、それなりの報いがあるのは覚悟の上なんでしょうね、大西珠枝さん(年収1700万)! あなたに売られたケンカ、よろこんで買いましょう。


 往年の時代劇「破れ傘刀舟」では、主人公の萬屋錦之介が、ドラマの最後に必ず怒り大爆発し、次のような決めゼリフとともに悪党どもをバッサバッサと斬りまくるのが常でした。


 「てめえら人間じゃあねえ!!!叩っ斬ってやる!!!」